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ムラサキシキブ この植物の名前の由来にも中村浩先生が牧野先生の説明に異をとなえています。

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学名:Callicarpa japonica 漢字名:紫式部 英語名:Japanese beautyberry 分類/科名:シソ科ムラサキシキブ属 落葉低木
草丈:1~3m よく見かける場所:庭 山野 よく見かける時期:花6月 実 9~11月
花言葉:上品 聡明

秋に紫色の実をつけます。6月に花が咲き始めました。地味で小さな花です。
日本在来の落葉低木です。学名 のCallicarpa は美しい果実の意味です。
日本各地に自生しています。もともと、ムラサキシキミと呼ばれていたのが紫色の実から紫式部(ムラサキシキブ)と呼ばれるようになったそうです。※
ムラサキシキブの材は白色で重くて木目が緻密で粘り強いために箸や大工道具の柄などにつかわれます。また木炭とすると最も硬度の高い良質の炭が得られるそうです。

※「ムラサキシキブの本名はムラサキシキミ」
東京書籍 植物名の由来 中村浩 著 より抜粋
牧野富太郎博士の「牧野新日本植物図鑑」によると、ムラサキシキブの名は “優美な紫色の果 実を才媛、 紫式部の名をかりて美化したものである”とされている。
わたしは、このムラサキシキブ(紫式部)という優雅な名が、この植物本来の名であったかどうか大いに疑問に思っていた。
古い時代にこの植物を何とよんでいたかははっきりしない。残念ながら「万葉集」にもその名 が見当らない。また、 紫式部の「源氏物語」にもこの植物の名はでてこない。
江戸時代になるとやっとその名がでてくる。しかし、「和漢三才図会」にはムラサキシキブで はなく、コムラサキとなっている。”コムラサキ、実、生時青し、熟して紫黒色、その枝につきて穂の如し”と記述され、 “鼠李”の字を宛てている。
このコムラサキがいつごろからムラサキシキブになったのかは判然としないが、おそらく江戸 時代の中期ではないかと思われる。
越谷吾山の「物類称呼」には、”ムラサキシキブは、京都あたりでは、ムラサキシキミとよばれ てゐる”ということがでている。
わたしは、ムラサキシキブの呼び名は、ムラサキシキミが原名で、これが変化した名であると思う。
しかし、ここでいうシキミは、仏前に供えるモクレン科のシキミではなく、別の意味をもっているものと考える。モクレン科のシキミは、有毒 なので”悪しき実”がシキミになったものといわれているが、クマツヅラ科のムラサキシキミのシキミは、重実(シゲミ)の意味で、実が枝に重(シゲ)くつく意だと思われる。このシゲミが転訛してシキミになったものと思う。紫色の美しい実が穂のように小枝に群がりつくのは、この植物の特徴の一つだからである。
ムラサキシキブの名は、このムラサキシキミが転訛して生まれた名で、この名のほうが一代の才媛紫式部に通ずる優雅な名であるとして一般に定着したのであろう。しかし、この植物本来の名としてはムラサキシキミが原型で、ムラサキシキブは紫式部にこじつけた名であるように思う。

 

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